刺繍パッチ:線の太さ1mm以上(最低0.7mm)必要ですが条件次第でもっと細い線も縫えます。そして技術的個性の話
こんにちは。sacom worksです。
WEB刺繍店として開業してもう15年くらいたつかなと思いますが(よく覚えていない)、あの頃は刺繍製品を作るにもウェブサイトを作るにも手探りの連続でした。
また、現在も手探り状態であります。
昔ながらのHTMLからWordpressに乗り換えさらに管理が難しくなったりして、結果的にコピペせずにほぼ作り変える形で現在に至っておりますが、その内容もまた試行錯誤でした。
HTMLの時は上手く行っていたけど、今はあまり人気がなくなってしまったページもがありますし、なぜかアクセス数が多いページもあります。
そういう中で他の業者様のサイトを覗いたりするわけですが、あれ・・・皆さん以前ってこんな書き方してましたっけ?というものがあったりするわけです。
その中で気になってしまったのが、「線の太さは0.7mm」という数値についてです。
どういういきさつかはわからないのですが、内心「もしかして内容パクられたかな…」と思ったりもするわけですよ…。
なぜ「1mm以上(最低0.7mm)」なのか
非常に中途半端な数字なのですが、sacom worksでの実測値では、「綺麗なサテン縫い(密なジグザグ縫い)ができる下限値」が0.7mmということで、実は服の縫い目のような「走り縫い」ならば、もっと細くできるのです。
ただし、走り縫いで作る場合、模様のズレの管理がやりづらいことや、模様が荒くなりがちなので対象図案を絞っています。たとえばズレの心配がないような場所(面の中を突っ切る場所)であり、多少角ばっても良さそうなパーツなどです。
上の図で図示した①ー⑥の箇所が、0.7mmに満たない「走り縫い(0.4mm前後)」の部分です。
- ①ゴーグル
- ②ライフルの排莢口ほか
- ③チークパッド
- ④スカートの線
- ⑤エプロンの線
- ⑥靴
服のミシンのような縫い目になっていて、他の線に比べカクカクしているのがわかりますでしょうか?
あと、特殊事例としては走り縫いをつなぎ合わせて、トンボの翅を再現したことがあります。これはほんとしんどかった…でも、図案がしっかりしていたのでできました(笑)
このような事例は特殊パターンで、すべてに対応できるというわけではありません(むしろ例外的です)。
この判断は難しいので、走り縫いを使って0.7mmよりも線を縫うケースは例外とし、お客様にはサテン縫いの実測値0.7mm以上でお願いしている、という事情なのです。
なお、あえて「1mm以上(最低0.7mm)」と表記しているのは、1mmのペンを使っても力の入り具合で細くなったりすることがあるので、誤差を考慮しているわけです。
いちいち測るお客様もいないと思いますし、業者でもいちいち測る人はほとんどいないでしょうからね。誤差を考慮しておけば「だいたい」でも0.7mm以上を確保できますし、仮に刺繍で0.1~0.2mm程度ズレたとしても、誤差の範囲ですから。
1mm未満の長さはノギスを使うか(バーニアって懐かしいですよね)、イラレのものさしツールなどを使わない限り判断できない世界です。
一般的なお客様では判断しかねる思うので、あえて余白を持たせるためのややこしい書き方としているのです。
この数値に至るには技術的にも記載の仕方も悩ましいものがありましたので、もしサイトを見て「0.7mm」を使ったとしたら、もうちょっと考えてほしいと正直思うわけです。
業者によって考え方が違う=規格も変わる
ごく局所的な世界ではありますが「この縫い方は〇〇製かな」とか「これは〇〇業者じゃないと縫えないぞ」とか、普通の人は気づかない細かいことが、マニア間で話題になることがあります(もっとなってほしい)
sacom works製は刺繍のズレを極限まで排除した「高精度」を売りの一つにしているので、走り縫いは避ける傾向がありますが、むしろ走り縫いを多用してお客様の要望に応える業者さんもいます。
細かすぎて模様として完全再現はできなくとも、1針ごとにデータを作り込み、雰囲気そのものを作り込んでしまう業者さんもいます。
どちらが正しく、どちらが間違っているという事ではありません。
それぞれの業者さんの考え方であり、どちらも正解なんです。
そして、これが技術的な個性につながっているのです。
同じ原画でも違う製品が出来上がる。業者それぞれのクセが現れる。そこが刺繍製品、刺繍パッチ・ワッペンの面白いところだと思うんですね。
ということは、線の太さの基準は業者によってまちまちのはずですが、どうも0.7mmというピンポイントな数字にひっかかかり、モヤモヤしまった次第です。たまたま同じ数値になっちゃっただけなのかもしれませんが。
もしかするとサイト管理を業者に任せているのでそうなった、という事なのかもしれませんし。
あまり職人気質にはなりたくないのですが、元エンジニアとしても「うちはこの技術を極めたので、ここまでできます!」と競い合えるのが、刺繍製品作り、そしてものづくりの楽しいところだと思います。
サイト作りも同じことがいえるのではないでしょうか。
ぼやき投稿になってしまい申し訳ない…お目汚し失礼いたしました。