sacom worksロゴリニューアル作業から考察する刺繍パッチ・ワッペンのデザインの方法と工程。
こんにちは。sacom worksです。
ゴールデンウィークは皆さんいかがお過ごしでしょうか?
沖縄地方はもう梅雨入りするのではないかと思える連日の悪天候。
ちょっとした晴れ間を利用して釣りに行ったものの、狙いの魚は釣れたのに動画が獲れていないという悲しい状況から始まりました…。
唯一綺麗に撮れていた動画のキャプションですが、こんなにきれいな海が那覇市の近くにあるってすごくないですか?動画撮影は天気がいい時にリトライしたいと思います。
本日これから3回目のワクチンを打ちに行きますので、残りの連休は熱にうなされることとなりそうです。
さて、表題にありますロゴリニューアルについて、刺繍パッチ・ワッペンを製作したい皆様の多くのお悩みである「デザインを決める」の参考になればと思い、ロゴリニューアルの過程を紹介してみたいと思います。
初代ロゴマーク:めいどin沖縄パッチ
実はsacom worksを立ち上げたさい、固定のロゴマークがありませんでした。
最初のロゴマークとなったのは、受注を受けている合間に制作したオリジナルパッチ「めいどin沖縄」シリーズでした。
沖縄産という意味と中の人がメイドさん好きという駄洒落から生まれたシリーズですが、当時「萌えミリパッチと言えばこれ!」とされるパッチを見て「これはウチでも良い物を作れるかも…」と思って手掛けた事から始まります。
自分が好きなものを全部載せしたパッチが、初代sacom worksロゴとなったわけです。
めいどin沖縄シリーズから生まれたキャラクター達にはそれぞれ猫にちなんだ名前が付き、後に漫画を描くこととなり「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」として自己出版(※自費出版ではなく印刷も流通も自前です。沖縄県内の書店で取り扱いいただいています)することにつながりました。
初代ロゴパッチも刺繍技術としては色々盛り込んだ作品ではあります。たとえば滑らかな線の再現や刺繍による迷彩模様、立体刺繍によるハンドガンの再現などです。
現在も刺繍のルール紹介に役立つ作例となっています。
これらの技術は、今となっては標準的な技術でもあります。
また、色が複雑すぎるため、パッチ以外への流用が難しいという難点があります(ということは別の何かを作ろうと…⁈)
そこでもっとシンプルかつ、技術的課題にも取り組んだロゴマークを作ろうと考えたわけです。
なお、初代マークのキャラ(ミキさん)は、今後もsacom worksのキャラクターとしてご活躍いただく予定です。
関連するモチーフから考える
私は漫画を描きますが、正直デザインというものは苦手です。
よく勘違いされますが、漫画を描けるからロゴデザインができるというわけでもありません。
両方ができる方いるのですが、漫画は物語や構成を考えなくてはなりませんから、似て非なるものだと私は思います。
とはいえ共通することもあります。
何をモチーフに、どういうコンセプトで作るかを考えて作るのです。
sacom worksの新ロゴは、サメ…その中でも淡水に適応できる「オオメジロザメ」をモチーフにしようと考えました。中の人はおそらく沖縄の都市河川でオオメジロザメを釣る第一人者である、という自負があるためです。
90年代終わりか2000年初めごろに那覇市内の河川で釣ったオオメジロザメの記事が新聞に掲載されて以降、たびたびメディア露出しています。
テレビ番組の収録のお手伝いはたびたび行っており、テレビ番組のナニコレ珍百景では「大物が釣れる川」として、川に入るオオメジロザメが珍百景登録。日テレ(沖縄にはチャンネルがない…)ニュースエブリィや天才しむら動物園、NHKダーウィンが来たなどにちらっと出演しています。
現在も依頼があれば現地案内をしたり、生まれ育った那覇市樋川の農連市場脇にあるガーブ川で釣る記録を作ったりと、やっぱオオメジロザメかなと考えたわけです。
なお、sacom worksの略(SW)は釣りで言う海釣り(ソルトウォーター)にもかかっているので、sacom worksとオオメジロザメはいい感じで調和するのではないかと考えました。
どちらかと言えばオオメジロザメよりロウニンアジを釣りたいんですけどね(笑)シーズンに入ったので早起きシーズンになります。
キャッチフレーズを考える
もう一つ考えなくてはならない事が、キャッチフレーズでした。
これもまたデザインとは別の技術が必要なものと思います。キャッチフレーズ、キャッチコピーを考えるのはデザイナーというより、コピーライターの分野だからです。
これについても悩みましたが、とりあえず考えているフレーズをgoogle翻訳などで訳しました。
中の人は他の方から「パッチ職人」と呼ばれることがあるのですが、私の肩書は「刺繍エンジニア」としています。
参考:https://mangaseek.net/person/19506.html
職人はコストを無視して技術を追求できますが、エンジニアは技術とコストを両立させるものだと考えています。
また、私は元々土木技術(シビルエンジニアリング)を学び、サラリーマン時代の多くも土木技師として働いていたので、どこかにengineerという言葉を入れたいと考えました。
それに現在使用している機材(刺繍機・ソフト)でのデータの作り方や刺繍における力学特性の解明、「二重ツイルヒートカット」「高精度日の丸パッチ」などの技術開拓を行ってきたので、私はエンジニアであると、胸を張って言えます。
日本語が上手な外国人の友人からもアドバイスをいただき「designer(デザイナー)」を入れる形で提案いただいたのですが、デザインはお客様でというスタンスなので、ちょっと迷っています(カッコいいご提案だったのですが、だんだんガンダム方面の話題に)。
なお、キャッチフレーズが長くなりすぎるとパッチに収まらない(刺繍できるサイズにならない)という問題も発生するので、基本的にシンプルで短いキャッチフレーズにしましょう。
ノートや方眼紙に作りたいサイズの四角形や円形を描き、1mmのサインペンなどでキャッチフレーズを書き込んでみてください。
収まりきらない、読めないならば、字が小さすぎ(文字数が多すぎ)なので数を削るしかありません。
そもそも、キャッチフレーズを入れないという選択肢もあります。
刺繍ソフトで文字を作る時は、刺繍用フォント以外の書体はトレースで作り込むことになります。円形などに文字を配列する時は、1文字ずつ並べて調整する作業が発生します。
データ製作後にキャッチフレーズを変えたりフォントを変えると、やり直し作業となってしまうため追加料金をお願いすることとなります。キャッチフレーズも含めて入稿前にデザインを固めておく必要があります。
(やり直しは中の人の精神的ダメージも大きいです…)
こうして出来上がるデザイン
そんなわけで出来上がった仮のロゴマークですが、歯の裏の骨が歯のシルエットをぼやけさせてしまっているので、この部分を小改良して正式なロゴマークとなりそうです。
パッチを作ってみたいという皆さんの中にも、デザインでお困りの方は多いと思います。
自分で作る場合も、デザイナーさんに委託する場合も、何らかのモチーフやキャッチフレーズから固めるのが良さそうな感じがします。
※ご注意:sacom worksではロゴデザインのご依頼は行っていません。出来上がったデザインを刺繍パッチにするお仕事です。