Release: 2022/03/28 Update: 2022/04/13

【デザイン】刺繍パッチ・ワッペンの図案は、偏りなく配置したほうが良い理由

こんにちは。sacom worksです。

今回は引き続き、刺繍パッチのデザインに関してのお話です。

糸と生地を用いて作る刺繍製品は、印刷物よりも土木建築に近い要素があります。

刺繍製品も、材料の組み合わせにより様々な力が加わります。

そして、その力をいかにして抑え、逃がし、支えるかを考えなくてはなりません。

刺繍には印刷物やイメージ画像にはない「糸の流れ」という要素がありますが、美術的観点だけではなく、力の影響まで考えなくてはいけないので、やはり土木建築に近い要素があると思うのです。

また、刺繍のテクニックで力の影響を軽減することはできますが、完全に排除することはできません。

刺繍に加わる様々な力の影響を軽減するためには、模様をまんべんなく配置する必要があるのです。

【最も難しい図案…それは「日の丸」】

細かい刺繍製品を見ると「すごい!精度が高い」と感じてしまうものですが、実は刺繍のルールを踏まえたうえで作られた細かく込み合った図案よりも、刺繍量の少ないシンプルな図案のほうが難しいものです。

シンプルかつ難しい刺繍の代表格と言えば、我が国日本の国旗である日章旗(日の丸)です。

注:日章旗と呼ばれる朝日状のマークの正式名称は「旭日旗」で、よく知られる16条旭日旗は海上自衛隊の護衛艦旗としても現在も使われています。

正円を作るのこそ非常に難しく、糸の引っ張りや圧縮でどちらかの方向に変形します。

また、変形の影響で丸の周辺にシワが入ります。刺繍機を使った刺繍においてはこの変形を完全に防ぐことは、物理的に無理だと考えています(だいぶ軽減した製品を作っていますが、製造方法は企業秘密です)。

日の丸に限らず、シンプルな模様を縫うというのは意外と難しいもので、変形との闘いとなります。

【ひずみやすいデザインと対処法の事例】

この図のように、円の片側に模様が集中しているような図案は、刺繍糸の引っ張りなどによる変形が起こることがあります。図の水色の部分は本来の正円のラインで、橙色がひずんだあとの形です。

ちょっとした事でありますし、刺繍製品の誤差の範囲と言えばそれまでなのですが、気になると言えばやはり気になります。

これはひずむ誤差を考えて刺繍したとしても、時間の経過とともにひずみが生じてしまうので、あまり良い方法とはいません。

やはり下図のように、模様をまんべんなく配置する方法や、正円や直線を用いないデザインにするという方法が考えられます。



【重要:当サイトに掲載している記述、特に技術情報に関する引用等について】

・当サイトに記載する刺繍の基準、数値等はsacom works独自のものであり、刺繍業界における統一基準または標準基準ではありません。

・当サイトに記載する基準や数値を利用したデザインを製作しても、他の業者が同様に出力できるとは限らないのが刺繍パッチの世界ですので、留意いただけますと幸いです。

・当サイトの記述を引用すること自体は問題ありませんが、出典元としてリンク(https://sacomworks.com/)を併記してください。