【コラム】刺繍パッチ・ワッペンの取り扱いについて
こんにちは。sacom worksです。爆裂祭出店のための出張より戻ってまいりました。爆裂祭にいらした皆様、運営いただいた皆様、そしてお買い物いただいた皆様本当にありがとうございました。
今回はイベント終了後、横須賀まで足を延ばして釣りへ。
沖釣りではイナダ(ブリの若魚)爆釣やシビアなアジ、陸っぱりでシーバスヒット→凡ミスでラインブレイクとドラマあり涙ありでした。
釣行の様子は釣りメディア「ORETSURI」様にて紹介いただいています。
さて、今回は刺繍パッチ・ワッペンの取り扱いについて紹介してみようと思います。
【基本的に洗濯OK】
刺繍パッチ屋をしているので、私自身ももちろんパッチを着用しています。自信を持って着用できないものは、お客様にも勧められませんからね。
私は迷彩好きなので、冬場はベルクロ(マジックテープ)付きの迷彩ジャケット、夏場はベルクロを縫い付けたポロシャツを愛用しています。もちろん、好きなパッチを付けるためにです。
これらの衣類の洗濯は、パッチが付いたままそのまま洗濯機へドボンしています。自ら使うのは耐久テストを兼ねているからで、多少乱雑に扱っているのです。
布と糸で構成された製品ですので、当然ながら乱雑に扱えば、変形や脱色、ほつれなどが発生しますが、普通に洗う分には問題ないかなというのが、私なりに使用しての印象です。
メンテナンスにあまり手をかけたくないという方は、そのまま洗濯機にドボンという形でもよいと思います。
一方、チームパッチや部隊章などをコレクションしている方で、ビンテージ品やレアものパッチは丁寧に扱いたいという方もいらっしゃるでしょう。
【パッチの脱色と摩擦】
脱色は長く使っていると多少は起きてしまいます。綿などのベース生地や古いレーヨン糸刺繍の素材(主に90年代以前)では、脱色しているものをよく見かけます。これはこれでヴィンテージ的な味があって私は好きです。
また、紫外線による劣化などもあるので、脱色は避けて通れない部分かもしれません。
近年の刺繍糸は染色技術が向上しているので、以前ほど脱色することはないような印象です。とはいえ、経年劣化は確実に置きます。
経年劣化は防ぎようがありませんが、ちょっとした注意で防げるダメージに、繊維同士がこすれあう摩擦があります。
私はパッチ付きの衣類をそのまま洗濯機に入れていますが、洗濯中に刺繍が擦れて、徐々に痛むことになります。
摩擦を防ぐためには、洗濯ネットに入れたり、手洗いする方法があります。洗剤は中性洗剤ならば、特に問題なく洗えます。漂白剤は脱色につながります。
【パッチ収集という楽しみ方】
以前は航空ファンを中心に「パッチ収集」という文化がありますが、近年はサバイバルゲーム業界においても、さかんにパッチ収集が行われています。
90年代以前のサバイバルゲームは、ミリタリーやエアソフトガンファンにより行われていた、マニアックかつアンダーグラウンドな遊びでした。現在は各地専用フィールドができ、芸能人がサバゲーに興じるようになるなどして、より身近な遊びとなりました。
また、海外エアソフトガンメーカーの台頭などにより選択肢が増えました。
メーカーオリジナルデザインのエアソフトガンも増え、「この銃と装備はあわない」などの概念も、サバゲーのジャンル次第という形になりました。こだわりの路線はリアルな軍装よりも、”個性”にシフトしているのではないかと思います。
パッチは個性を出すツールでもあります。
刺繍パッチは複数枚持っていても、他の衣類や装備品のように場所を取らないので、コレクションを楽しみやすいジャンルなのかもしれません。
【パッチの保管方法】
さて、両者のパッチ収集において悩みの種なのは、パッチ・ワッペンの保管法です。
航空ファンの方々は、クリアファイルやカードケースなどに収めて管理されている方も多いのですが、これだと取り出しが不便です。
ベルクロ付きのパッチならば、専用の「パッチブック」「パッチタペストリー」などに集める方法もあります。専用品なので、ちょっと割高感はありますが、そのものがコレクションアイテムにもなるので興味がある方はお勧めです。
最も安価なのは、ダ●ソーなどで販売されているフロアマットに張り付ける方法です。大量のパッチを扱っているsacom worksでも、フロアマットでベルクロパッチを管理しています。
フロアマットの問題点としては、パッチの裏のベルクロオス面に抜け毛が絡みつくことですが、神経質にならなければ大した問題ではありません。
ベルクロオス面に絡みついた抜け毛は、指や毛抜きでむしり取れば良いです。
フロアマットを活用する方法を教えていただいたミリブロのブロガーの方に感謝!
【メローエッジと藪】
刺繍パッチが傷む原因として「摩擦」をあげましたが、摩擦よりもさらにダメージを与えてしまう要因に「引っかける」があります。
たとえばサバイバルゲームや自衛隊の訓練等で、パッチや刺繍を藪に引っかけることがあれば、かなりのダメージを受けます。
特にミリタリーパッチで多用されている”メローエッジ(メロウエッジ)”とよばれるロックミシン加工は、摩擦や引っ掛かりに対するダメージが顕著にみられます。
メローエッジは、パッチの縁を包むように加工するので見た目も美しく、施工速度が速く失敗してもやり直しができる(=ロスが少ないので)、大量生産に向く加工方法です。このため、ミリタリーパッチを中心に多用されています。
一方で、専用のウーリー糸(釣り具ではウイリーと呼ばれるフカフカの糸)を用いるため、藪などにひっかけると、すぐに痛んでしまうのです。
この加工については、仕上げの美しさからマニアに定評がありますが、ハードに使用する自衛隊員さんから不満を耳にすることもあるので、「ミリタリーパッチ=メローがホンモノ」みたいなのはちょっと違うかなと思います。
なお、ヴェトナム戦争あたりのマニアの方からすると、メローエッジかハンドカットかは、考証的に大事な要素になっているようです。sacom worksで使用しているヒートカットは、比較的新しい技術になります。
【ベルクロパッチは重ねない】
なお、藪などに引っかける以外にも、刺繍に大きなダメージを与えてしまうものが身近にあります。それはベルクロのオスです。
ベルクロのオス(フック側)は刺繍糸やフチのロック糸に引っ掛かり、写真のように、あきらかにダメージを与えてしまいます。
刺繍パッチの大敵は表裏一体。ベルクロ付きパッチを重ねて管理することは厳禁なのです。
sacom worskでは、指定がない限り1つづつ袋に詰めて納品しています。運搬中やお客様が管理するさいに、パッチが傷まないようにという意図があります。
一方、別途袋詰めをしたいお客様には、複数枚のパッチを1枚の袋に入れて納品することがあります。
ベルクロ付きパッチの場合は、表裏を交互にする(表と表、裏と裏) 方法で、刺繍が傷むことを防いでいます。
どうしてもパッチを重ねて管理したいという方は、表裏を交互に重ねるという方法で保管いただきたいと思います。
【アイロン掛けについて】
刺繍パッチはアイロン掛けOKのものが大半ですが、蓄光刺繍糸が使われているものに関してはアイロン不可です。刺繍糸が特殊で、熱で溶けてしまいます。
なお、アイロンをかける場合は、ハンカチやバンダナなどの当て布をして、中温で行います。熱接着シートが使われている場合などは、接着剤が溶け出す場合があるので注意しましょう。
私は当て布の代わりに、クッキングシートを用いています。もし蓄光糸が使われていても、熱で溶けだしてあちこちに飛散することがないためです。