Release: 2019/08/29 Update: 2019/08/30

サバイバルゲーム用パッチ・ワッペン製作のあれこれ

こんにちは。sacom worksです。

本日は、サバイバルゲーム用パッチ・ワッペンのお話を、私のサバゲー体験とともにコラムとしてお届けしたいと思います。

私のサバゲー体験記

私自身は物心ついたときからミリタリー好きで、高校生の頃に本格的にサバイバルゲームを行うようになりました。サバゲーを始めた当時は、今のように専用フィールドもない野良サバゲー、パワー規制もなかった時代。先輩方のフルチューンのボルトアクションや、空気圧を高めたガスガンに怯えながらサバゲーをしていたものです。

このようなアンダーグラウンドな遊びだったので、非常に濃い人が集まっているという印象でした。今のフィールドにも濃い人はいるのですが、当時は濃い人の密度がハンパなかった感じです。

2000年代初めごろのチーム。
私は当時からギリースーツ。

2006年に銃刀法が改正され、全国各地にサバイバルゲーム専用フィールドができ、芸能人が競技に興じるなどの効果もあり、サバイバルゲームはルールを守れば安全に遊べるレジャーとなりました。

個人的には、銃刀法の改正はかなり影響が大きかった思います。当時は「サバゲーができなくなる」と心配したものですが、全くそんな事はなく、良い時代になりました。

刺繍パッチとの出会い

私もミリタリー好きで、サバイバルゲームや専門誌を通して装備の知識がつくようになり、その中のアイテム「パッチ(ワッペン)」にも目に行くようになります。

チャーリー・シーン主演の映画「NAVY SEALS」の影響で、米海軍SEAL好きだった私は、SEALのパッチレプリカを手に入れて喜んだものです。

そんな私のチームも人数が集まり「チームのパッチが欲しい」ということになります。そこで学校近くにあった刺繍店を訪れて見積もりを出すわけですが、これが結構高い・・・学生中心のチームだったので、お金もなく断念することに。

当時は刺繍機がウン百万円、専用のソフトも百万円だったとのことで、コスト回収のために小ロットは受け付けてくれない、受付してもめちゃくちゃ高い。それが普通だったのです。

他のチームもオリジナルチームパッチを着用していることは稀で、オリジナルパッチを持っているのは、経営者が集まっているようなリッチなチームくらいなもの。

私は母が所有するミシンのジグザグ模様を使って自作パッチを作ったりしました。今考えると、sacom wokrsの刺繍第一号は横振り刺繍(ミシンのジグザグ縫いを用いた刺繍)だったのです。

実は、家庭用ミシンでも「手ぶり」「横振り」風刺繍を作ることができるのです。その模様はまたいつか紹介しようと思います。

その後、3~4年ほどサバゲーから離れている時期がありましたが、この間に、今やフィールドで普通に見られるようになった「マルチカム」の登場や、ベルクロ付きのBDU、プレートキャリアなどの装備品が流通するようになりました。

チームパッチを作る文化が浸透した理由の一つが、ベルクロ付きBDUや装備品の普及だったのだと思います。

刺繍店を始めてみた

高校生だった私は就職し、10年近く務めた職場を辞めて釣り船を始めることとなりましたが、そのタイミングで母が刺繍機能付きミシンを買い替えるというので、母が使っていないときに私が刺繍ミシンでパッチを作り、あわよくば売ろうということになりました。

その第一号がわりと綺麗にできたので、何もわからない状態でサイトを立ち上げて”刺繍屋のようなもの”を始めるようになりました。(今考えると無謀ですし、こんなパッチよく売ったな・・・と思ったり)

その後、有名店の刺繍製品を研究して、できる所は取り入れて、無理なところはアイディアで代替案を出したりして対応しました。

刺繍そのものを作ることはもちろんの事、パッチの縁の処理はかなり困りました。当時のマニアの間では「メローエッジ(メロウエッジ)が本物」という話があったので、どうしてもこの処理をしたかったのです。この処理には専用のミシンと”ワッペンロック”などの専用糸が必要となります。

後ほどメローエッジの技術を習得しましたが、苦肉の策で編み出した「二重ツイル法(のちに二重ツイルヒートカット)」を代替案として用いるようになりました。

この処理に関して、老舗刺繍店の社長さんから「綺麗にロックかけていますね」と言われた時は、ニヤリとしました。

サバゲーとチームパッチの変貌

気が付くとこの仕事を10年以上やっていますが、その間、おそらく200~300のサバイバルゲームチーム、ショップやフィールドさんのパッチを担当させていただいているのではないかと思います。

非常に面白いなと感じるのは、サバゲーにおけるスタイリングやプレイスタイルにも流行や流行があり、それがチームパッチに反映されるということです。

たとえば、私がサバゲーを始めた当時は「〇〇軍」「〇〇州のSWAT」など実在する軍隊などで揃えるのが普通で、さほどこだわりがない人でも、迷彩服が当たり前という時代でした。

屋外森林フィールドがメインでしたので、迷彩服は視覚的効果や草による切り傷防止の観点からも、有効だったのです。

また、今のように海外製エアソフトガンが流通しておらず、レプリカの装備品も充実していない時代でした。使う装備は本物がメインという時代だったので「オリジナルチームパッチを作ろう」という発想はあまり浮かばなかったのかもしれません。

刺繍パッチを作るようになった10数年前。ご注文いただくパッチはサブデュードやロービジと呼ばれる、目立ちにくい配色がメインでした。

シンプルかつセンスがステキなサブデュードパッチ

屋外でも市街地をイメージしたフィールドが増えた昨今、迷彩服にこだわる必要がなくなり、軽装やコスプレで参加するゲーマーさんや、撃ち合いに特化したUABや世界観を重視したMADサバゲーなど、独特のゲームスタイルも増えています。

市街地を意識したフィールド
武器コス祭り2019より 
スタイリングも自由な時代に

オリジナルの装備やレプリカも充実しており、スタイリングも依然と比べて自由になりました。この影響なのか、近年は明るい色のパッチもかなり増えた印象です。

また、現在においてもミリフォトなどから軍の装備の影響は多く、たとえばIRパッチなどの問い合わせが多かった時期もあります(とはいえ、IRパッチは刺繍製品ではないため、sacom worksでは製作できませんが…) 。

また、近年は個人でフィールドに訪れるプレイヤーが多く、そもそもチームを作らないという傾向があるようです。

サバイバルゲームはコミュニケーションのスポーツなので、個人参加でも他のゲーマーさんと積極的にコミュニケーションを取るようにすると、いい事がたくさんあるように思います。サバイバルゲーム以上に年齢や職業、性別や体力関係なしに遊べるスポーツはありませんからね。

一方で需要が増えたと感じるのは、サバゲー業界で活躍するタレントさん、影響力のあるゲーマーさんが個人でリリースするオリジナルパッチや、フィールドオリジナルのパッチです。

やまめJPさんデザインのK-にゃいんパッチ

パッチをコレクションするのも楽しいものです。なお、パッチのコレクション用にパッチブックなどのベルクロが付いたファイルなども発売されていますが、百均で販売されているフロアマットに張り付けるという方法もあります(若干、毛が絡まりますが…)

フロアマットにパッチを張る方法
(ミリブロのブロガーさんが教えてくれた方法)

パーソナルサバゲーパッチという考え方

「チームでパッチを作るのは、内部調整が面倒くさいな…。それでも個人のオリジナルパッチが欲しい」という方は、パーソナルパッチを作るという考え方もあります。

かざみにこふ氏の「撃つぞゴラァ!」

かなり割高になりますが、単品の製作もできます。

また、複数作っておいて他のゲーマーさんやチームと交流のさいに「パッチ交換」をするなど、コミュニケーションツールとしても活用できるのではないかと思います。

20枚程度なら、エアソフトガン1丁分くらいの価格でまとまった数のパッチを作れますよ。

サブデュード・ロービジの効果

サバゲー用チームパッチを作られる方には、迷彩効果を重視する方もいます。

迷彩効果追及のために、かなりこだわった配色をされる方がいますが、 こだわりすぎる必要もなく、「迷彩服や装備、チームのイメージにあわせる」のが一番良いような印象を受けます。

ACU(UCP)などを意識したカラー(HAM★STAR)

というのも、私のサバゲーの経験では、 パッチの1か所が目立って相手に見つかってしまったいうことがないためです。

下記の写真のように、身動きとらずに相手の接近を待つようなプレイスタイルなら別ですが・・・

モソる(偽装する)筆者
葉が裏返ってるなどの不自然さで発見される

また、何よりも目立つのは動くものであり、また、近年のゲームでは、いかに”薄く”バリケードから出るか、などのテクニックが重視される傾向もあります。

なので、サバゲー用パッチに迷彩効果を追求するよりも、迷彩服や装備品にマッチしたカラーでカッコよくまとめる事を考えたほうが良いと思うのです。

個人的にカッコよいなと思うパターンは、ODと黒、または茶色にTANカラーなどのロービジ配色に、ワンポイント刺し色として、赤や黄色などの明るい色を入れるパターンです。

「ミリタリー色」+「刺し色」の例

カラー版とサブデュードで作る

もし色で悩むのであれば、カラー版と森林用、砂漠用サブデュード版の複数種類を作るという方法があります。この方法なら、好みに合わせてメンバーが色を選ぶことができますし、当日のスタイリングにあわせて組み替えることも可能です。

カラー版をロービジにした例(TIGRIS)

シンプルな色変更、sacom worksにて色提案させていただくなどの場合は、基本的に糸や生地の差し替えのみなので、大きな作業なく色変更できます。この作業は基本的に無料で行っており、1枚分のデータ作成料+必要枚数+送料で製作できます。

たとえば10枚それぞれ色がうなど複雑な作業となる場合は、別途お見積りさせていただく場合があります。

後述するサバゲーチームパッチを作るトラブル解消にも絡む方法です。

刺繍でできる事を把握しよう

刺繍パッチは糸と生地の組み合わせなので、できる事とできない事があります。また、版権等の問題により製作をお断りさせていただく場合があります。

刺繍の限界に挑戦したBACCHUSSパッチ
主線の太さは基準内だったのでの刺繍できました

いきなるデザインせずに、予め刺繍でどこまで作れるかを把握しておきましょう。

チームパッチのトラブルあれこれ

私自身もチームを持ってパッチを作ろうとした身ですが、その時に感じたパッチ作りでのトラブルをまとめてみました。

【デザインが決まらない】

まず、チーム内での調整がうまくいかず、デザインが決まらない場合がります。チームの人数が多くなると「あれは嫌だ」「これは嫌だ」という人が出てくることがあります(そういう人に限って、デザイン案を出さなかったり…)。

このような事態に陥った場合、多数決を取る、リーダーがズバっと決める(担当に任せたら、ほかは文句を言わないルールを作る)などしないと、なかなか前に進みません。

なお、のちに紹介する「差し替え」トラブルにつながるので、しっかりと調整する必要があると思います。

【出来上がったワッペンがイメージと違う】

また、デザインしたものと出来上がったサンプルとで、イメージが違って見えるケースがあります。これは印刷物ではなく糸と生地で再現する弊害であり、特にイラストレーターなどのソフトを用いてデザインをすることに慣れている方に多い印象を受けます。

既製品のパッチなどで、予め糸や生地の質感を見て「こんな感じに仕上がるんだな」とイメージしていただければ、このトラブルは解消できると思います。

なお、パッチには「昇華プリント」「織」など、刺繍以外で作られたものもあります。昇華プリントは印刷なので複雑なグラデーションが使えます。また、織はシャツなどのタグに用いられているもので、刺繍よりも細かい模様を再現できます。

【素材を指定したい】

糸や生地は単に縫えばいいと考える方も多いですが(実際、そんな感じの刺繍店も結構多いです…)、sacom worksの場合は、糸と生地の組み合わせで耐久性や変形防止まで考えて素材をチョイスするので、すべて指定されてしまうと変形やズレの多いものが出来上がってしまいます。

素材の特性を生かし、それぞれ補わせて、一つひとつのパッチを作り上げています。素材のチョイスはお任せいただけるとありがたいです。

【スペルが間違っていた・・・】

基本的に、いただいた図案をトレースしてパッチを製作します。

サンプル段階でわかればいいのですが、量産後に「スペルが間違っていた」というトラブルを何度か経験しています。

私は英語力が皆無なので、基本的にチェック能力がありません(汗)

そのため、お客様にてスペルの確認をお願いいたします。

【差し替えしてほしい】

様々な要素を考慮して作ったものを「やはり差し替えで」と言われてしまうと、仕事とはいえ、テンションはかなり下がります。

場合によっては作り直しになってしまうので、それなりの作業費用(単品コース)を請求させていただくことになります。

チームパッチを作られる方は、あらかじめチーム内でまとめておく事が大事なのだと思います。



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