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コラム

【パッチコラム】刺繍パッチ・ワッペンのフチの仕上げ色々

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こんにちは。sacom worksです。

今回は刺繍パッチの縁取りについての話を紹介してみようと思います。

 

私が刺繍パッチ屋を始めた10年ほど前のことではありますが、私が使っている刺繍機(ブラザーPR600~1000系)や付随する刺繍ソフトは、刺繍業界ではオモチャ扱いでした(笑)

プロの刺繍店ならば数百万するソフトを使うのが当たり前という、刺繍業界の風潮があったのです。さすがにそんな事を言う業者はいないと思いますが・・・

同様にパッチのフチに関しても、マニアや収集家の間では様々なことが言われており、パッチを作る側、提供する側からすると昔はそうだったけど今は違うかも・・・そんな話を書ければよいなと思います。

 

【パッチのフチの処理】

刺繍パッチを作るうえで、フチの加工は必須となります。

生地(パッチ=当て布)のフチをほつれないように処理しなければなりません。そのままにしておくと、どんどんほつれてしまいます。

加工については様々な方法があります。その代表的な加工を紹介します。

 

 

・ハンドカット

ホツレ止めとなる縁取りの刺繍を入れたあと、はさみで生地を切り取ってしまう方法です。これだと生地が飛び出すので、フチの処理が綺麗に見えません。

かなり古くから用いられている手法で、職人さんによってフチの刺繍際で切られていたり、そうでなかったりと精度がバラバラです。

ある意味荒々しさが残るので、使い方によってはかっこいい仕上げにもなります。

 

・折込

フチを折る方法です。基本的に四角形のみ対応可能です。

自衛隊の徽章やネームなどに用いられます。

 

・ロック加工(メローエッジ・メロウエッジ)

専用のロックミシンとワッペンロック糸(フカフカのウーリー糸)でフチを処理する方法です。メローエッジ(メロウエッジ)、ふちかがり、ふちかけなど様々な呼び名があります。

フチを包むので美しく仕上がりますが、複雑な形状の処理には熟練の技術が必要です。一般流通しているパッチでは最も普及した処理方法です。

オリーブの点線より上がメローエッジ。

ロック糸でフチが包まれて綺麗。

 

・ヒートカット

ヒートカッター(実際は精密ハンダごて)を用い、余分な生地を焼き切る方法です。縁取りの刺繍糸は熱に強いレーヨン、ベース生地は熱に弱いポリエステルを用いて、温度差を利用して焼き切ります。

ハンドカットの進化系で、生地が溶けるのでハンドカットよりも滑らかな仕上がりになります。

 

【マニア的に見るパッチのフチ】

パッチのマニアの方や、他の趣味(ミリタリーや航空機つながり)でパッチに興味がある方は、それぞれ部隊章やその歴史、生産地などよく研究されています。

たとえば、サバイバルゲームやヒストリカルゲームにおいて、ヴェトナム戦争をテーマにしたイベントや装備に人気がありますが、そのアイテムの一つとして、パッチのフチ処理が「カットエッジ」か否かも言及されることがあるようです。

 

ヴェトナム戦争当時は、現在主流になっているワッペンロック(メローエッジまたはメロウエッジ:以下「メローエッジ」)の仕組みがない、または機材やパッチそのものの流通量が少なかったようですので、綺麗にロックミシンで処理されたインシグニアパッチは、時代考証的にそぐわない、ということになるようです。

殆どはそこまで気にしていない場合も多いのですが、こだわる人はこだわるポイントということかもしれません。

 

ちなみに、サバイバルゲームは現在「AIRSOFT」として世界中でブームとなっており、人気ジャンルであったヴェトナム戦争ものの装備が高騰。クオリティーの高いレプリカBDU(戦闘服)や装備品が流通するようになりました。

私がサバゲーを始めた20数年前はまだジャングルファティーグやコットン装備が安く手に入ったので、あの時買いだめしておけばよかったな・・・などと思ったりします。

 

 

 

【どうしてもメローのミシンが欲しい!】

さて、私がパッチ製作を始めた10年前は、ネットや雑誌等では「メローエッジ=本物のミリタリーパッチ」という傾向が強かったので、どうしても自分でメローエッジの技術を身に付けたいと考えました。

 

メローエッジをかけるための専用のワッペンロックミシンは、新品で買うと30万円以上もしたので、すぐに買うわけにも行きません。

お世話になっているミシン店の社長に「中古が出たら教えてほしい」などと頼んだり、母親が持っていたロックミシンで試したり、色々なことに挑戦しました。

結論から言うと家庭用のロックミシンでは、ワッペンロック用の太い糸が使えず、上手く処理ができませんでした。

そんな事をしているうちに、ミシン店の社長から「この古いロックなら安くで良いよ」と、業務用の中古ロックミシンを購入。

一部に改造を施したうえで、ようやくメローエッジ処理ができるようになりました。

カスタムしたロックミシン。

糸を3本使い、左から針糸、上ルーパー糸(ここにワッペンロック糸が使われる)、下ルーパー糸となります。

 

ちなみに、ミシン店の社長からは「メローエッジというのは、メローという会社のミシンで処理する方法がルーツの呼び名」とか「有名パッチ店の先代社長は導入当時”うり、ならんどー(これ、できないよ)と言っていたけど、1年後には上手くなっていたから、練習あるのみさ。」などなど、色々教えていただきました。

四角形や円形は慣れればできますが、複雑な形状(内角)の処理は難しいのです。

 

【メローエッジの利点=生産性】

マニアの間では「生地が包み込まれて処理が美しい」と重宝されるメローエッジですが、実は部隊の方にはあまり人気がありません。

メローエッジ(というかワッペンロック糸)の弱点は、ベルクロ(マジックテープ)のオスなどで引っ掛けると、あっという間にヒゲ状に痛んでしまうことにあります

経年劣化でほつれはじめている。

 

ベルクロで左上を5回ひっかいてみた。

 

特に過酷な訓練で知られる部隊の方からも「メローエッジはフチがすぐにダメになるからあまり好きではない」という話を聞くことがあります・・・。

部隊によっては「装備の管理がなっていない」と注意を受けたりするようですが、素材の特性上、仕方のないことなのです。

 

メローエッジはフチを包むように美しく仕上げられますが、フチを包むときに生地を丸く巻き込まないように(この状態を巻きロックといいます。)、フカフカして伸び縮みする、レーヨンのウーリー糸を使うので、藪にひっかけるとすぐに痛んでしまうのです。

また、レーヨン意図は素材が水や湿気で強度低下するという特性があるので、どうしても痛みが早いです。実際、袋から出したワッペンロック糸を1年以上放置すると毛羽立って使い物にならなくなる色もあります(染料、顔料で差があるようです)。

ちなみに、ウーリー糸というのは、釣りをしている人ならばサビキに使う「ウイリー」と言えばピンと来るかもしれません。

 

パッチ収集家の方がケースに入れて眺めるのと、実際現場で使うのは別問題、ということです。

 

ちなみにパッチを保管するときは、重ねることはNGです。重ねる場合は表裏交互にするか、折り紙などを間に挟むと良いですね。

 

 

【メローエッジが用いられる理由の考察】

また、メローエッジに関しては、ヒートカットの台頭でワッペン用ロックミシンの流通が減り、比例して調達できる色数が少なくなっている(廃盤が増えている)という問題に直面しています。

ミリタリーカラー(オリーブドラブ)などは色数が1色しかありませんが、現状手に入れることができます。最近のミリタリーの流行であるTANカラーやコヨーテ、グレー系など細かい色に対応できない状況にあります。

また、染色から始めるならばかなり大量に発注しなくてはならず、また、先に記述したとおり湿気で毛羽立つ糸なので、あまり長時間ストックできない(=恐ろしく大量の受注を一気に処理できないとペイできない)のです。

 

それでもなお、メローエッジのパッチがミリタリー用として広く流通している理由があります。

一つはミリタリーパッチにおける、発注者(部隊側)の仕様です。

海上自衛隊の部隊からのご依頼でメローエッジ(ロック加工などと記載されている)での指定があったのですが、単に「メローエッジしか知らないから」という理由で仕様書へ記載されている、ということでした。

 

もう一つ、ミリタリーパッチでメローエッジが多用される理由としては、生産性の高さにあります。

メローエッジはミシンの処理速度が速く、単純な形状であれば他のパッチの3分の1以下でフチの処理が行えます。

また、処理に失敗したらロック糸を外して、再処理できます。ロスが極端に少ないのです。

ハンドカットやヒートカットでは再処理不可で、捨てるしかありません。

 

なので、部隊章(インシグニアパッチ)などのように大量に作る場合はメローエッジが適切で、導入は難しいですが業者にとっては、多くの受注を受ける業者としては、メリットの大きい処理方法であると言えます。

sacom worksでも、大量生産が必要で、サバゲーや野外演習などで藪に引っ掛ける要素が少ない製品に関しては、メローエッジで処理させていただいているものもあります。

普段使いやコレクション用としては、ロック加工はやはり美しいものだと思います。

 

 

【苦肉の策で生まれた二重ツイル】

私がまだメローエッジの機材を購入していない時のこと。

いかにしてフチの処理を綺麗に行うかで頭を悩ませていました。

ハンドカットのフチの処理がどうしても汚く感じてしまったので、どうにかしてメローエッジのような処理をかけたい。そういう事を考えたときにふと思いついたのが、現在、sacom worksのメインとなっている「二重ツイル法」でした。

フチの糸色と同じ色の生地を使えば、フチからはみ出る生地が目立たない。多少綺麗に見えるという方法です。また、これに後ほど導入したヒートカットを組み合わせることで、ベース生地が溶けて糸と一体化し滑らかな処理が可能となりました。

 

二重ツイルヒートカットで処理した例

 

色に関しては約600種類から選ぶことができ、多少複雑なパッチの形状でも、処理できるなどの利点があります(とはいえ、角があるパッチは痛みやすいので、できるだけ滑らかな形でデザインしたほうが良いです)

 

現在sacom worksでは、基本的に二重ツイルヒートカットを推奨しており、部隊の方からも強度面や仕上げで喜ばれています。

ハンドカット及びヒートカットは処理で失敗すると、パッチを捨てる(ロス率が高い)とい業者側の課題もありますが、技術の進歩により、マニア間でささやかれていた「メローエッジこそ本物のミリタリーパッチ」という認識も、既に過去のものになりつつあるのではないかと思います。

実は、メローエッジの処理の美しさでも定評がある刺繍店の社長から「綺麗にロックかけてますね」と言われたこともありますので、二重ツイルヒートカットはメローエッジほどの美しさはないですが、今までのヒートカットよりもずっと精度が高い処理であるという自負があります。

 

なお、ヒートカットはメローエッジのワッペンロック糸よりも痛みにくいという利点がありますが、水分で強度が落ちるレーヨン糸を使うことや、フチは洗濯などで最も負荷がかかる部分なので、全く痛まないということではないので、その点ご了承ください。

長持ちさせるのであれば、洗濯時は剥がして手洗いするのがお勧めです。

 

パッチ・ワッペンのコラムとしてお届けいたしましたが、手間はかかるけれどできる限り美しく、できるだけ長持ちするようなパッチを製作させていただいています。

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